作り置きおかずの歴史 保存食から週末作り置きへ

家事
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この記事は、作り置きおかずの歴史についてまとめています。

作り置きおかずの歴史

作り置きブームを経て、今や週末におかずを作り置きしておくことは(やるかやらないかは別として)主婦の常識となっています。

しかし作り置きおかずって、いつからあるのでしょうか?ブームになる前から、冷蔵庫にはタッパーに入った煮物があったような…

そこで今回は、作り置きおかずの歴史を調査。

  • 作り置きおかずっていつからあるの?どうして流行したの?
  • そもそも何の目的で作り置きをしているの?
  • 作り置きって昔は手抜きのイメージじゃなかった?
  • 今の作り置きと昔の作り置きって何が違うの?

といった、作り置きおかずに関する疑問を解決していきます。

伝統食の作り置きおかず

干物も、ある意味作り置き

料理を簡単にするためにあらかじめ調理しておいた食材を“作り置きおかず”とすると、作り置きおかずの歴史はかなり古くまでさかのぼれます。

冷蔵庫登場以前から作り置きおかずは、作られていました。現在まで伝わっている伝統食としての作り置きおかずは、保存食と呼ばれていることが多いです。

伝統的な作り置きおかずの例は、こちらです。

大昔の作り置きおかず:ほしいい、芋がら

現在も食べられている伝統食の作り置きおかず:おせち、漬物、干物、酢漬け(梅干し、ピクルスなど)、乾物

水抜きと濃い味で長期保存

ピクルスは酢と塩で雑菌の繁殖を抑えている

伝統的な作り置きおかずは常温保存できるように、

  1. 水分を抜く
  2. 濃い調味料につける

という工程をとります。

なぜ、水分を飛ばして濃い味にするのか?それは、食材の腐敗を避けるためです。

腐敗の原因となる細菌は食材に含まれる水分を使って増殖します。日干しや乾燥で食材に含まれる水分を減らすと、食材が細菌の温床になるのを防ぐことができます。

また、塩や砂糖などの調味料で食材を漬け込むのも、抗菌効果があります。食材内の水分と調味料が結合することによって、細菌が水分を活用できなくなり増殖しづらくなるからです。

(参考:ミツカン機関誌『水の文化』52号食物保存の水抜き加https://www.mizu.gr.jp/kikanshi/no52/)

水分を抜いて味を濃くするのは、現在の作り置きおかずにも応用できます。作り置きの基本テクニックと言ってよいでしょう。

冷蔵庫が登場

冷蔵庫のイメージ

作り置きのやり方に大きな影響を与えたのは、なんといっても冷蔵庫です。

電気式の冷蔵庫が一般向けに発売されたのは、1952年。当初はサラリーマンの月収10か月分という、高価すぎる値段設定でした。

その後、冷蔵庫は低価格化・性能向上を続けました。高度成長期に合わせて徐々に普及し、1965年には普及率50%を突破。1975年には、ほぼ100%の家庭が電気冷蔵庫を使うようになりました。

(参考:一般社団法人 家庭電気文化会 家電の昭和史冷蔵庫http://www.kdb.or.jp/syouwasireizouko.html)

冷蔵庫の普及が、現在につながる作り置きおかずの下地をつくったと言っていいでしょう。

1980年代の作り置きブーム

1980年代になると、2ドア以上の大型冷蔵庫がファミリー用として主流になっていきました。冷蔵庫が大きくなると、食材を毎日買いに行くだけでなく、休日に数日から1週間分の食材をまとめ買いすることも可能になりました。

また、社会全体では共働き家庭が増加。女性の社会進出が推し進められていくにしたがって、日々の料理にかけられる時間は減少していきました。

こういった状況を背景に、第一次作り置きブームが到来。

下ごしらえ済みの食材を冷凍する下味冷凍や、日持ちしやすいおかず(煮物など)を保存容器に入れて常備菜とする習慣が始まりました。

(参考:cookpad news 「つくりおき」ブームは80年代から続いていた!?“ワーママ”が生み出したトレンドの正体【平成食ブーム総ざらい!Vol.8】 https://news.cookpad.com/articles/31990)

作り置きは兼業主婦の知恵

女性の社会進出が進んできたとはいえ、1980年代はまだまだ”女性は家庭に”と望まれた時代です。

多くの家庭で、女性が働きに出ることは“家庭に負担をかけないなら”という条件で認められていました。

(参考:cookpad news 「つくりおき」ブームは80年代から続いていた!?“ワーママ”が生み出したトレンドの正体【平成食ブーム総ざらい!Vol.8】 https://news.cookpad.com/articles/31990)

作り置きおかずは、兼業主婦が食卓のレベルを維持して、自分の生き方を守るための工夫だったといえます。

マイナスイメージは兼業VS専業の対立から?

本当はいがみ合う必要はないのだけど…

働く女性の間で作り置きおかずがブームになっていた一方で、専業主婦の間では豪華な家庭料理がブームとなっていました。

“一汁三菜”、“一日30品目”などを目標とし、栄養満点の料理を家庭でも提供しようとする考えもまた支持されていたのです。

作り置きおかずに対して、“手抜き”や“不味い”といったマイナスイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。

実はこのマイナスイメージは、この時期に2つの対照的な価値観が衝突することによって生まれたと考えられます。

作り置きおかず派からすれば、一汁三菜・30品目を掲げる家庭料理ブームは贅沢で暇人の所業だったでしょう。

それに対して、家庭料理派から見た作り置きおかずは、味が悪く手抜きの象徴だったでしょう。

兼業主婦と専業主婦の相互非難は、様々なトピックを戦場として勃発しつづけています。こういった価値観戦争の背景にあるのは、自分のやり方を守りたいという危機感や自己防衛意識です。

つまり、作り置きや一汁三菜をめぐる論争は、家庭料理をより良いものにする目的では行われていない可能性が高いのです。

よって、作り置きおかずへのマイナスイメージは、そのままデメリットと断定できません。

自分の立場を守るために、あることないこと悪口を言うのは、人の常ですからね。

作り置きの歴史から分かることは、作り置きおかずへのマイナスイメージは、1980年代以降の家庭料理をめぐる価値観の衝突から生まれた可能性が高いという事だけ。

作り置きおかずのメリット・デメリットは別の記事で、科学的な根拠に基づいて検討することにします。

2010年代作り置きブーム

時を経て、21世紀。2010年代に作り置きおかずが再びブームになりました。

ブームをけん引したのは、レシピ本です。2014年以降、作り置きおかず系のレシピ本が大ヒットして、現在につながる作り置きおかずブームが到来しました。

(参考:cookpad news 「つくりおき」ブームは80年代から続いていた!?“ワーママ”が生み出したトレンドの正体【平成食ブーム総ざらい!Vol.8】 https://news.cookpad.com/articles/31990)

もちろん、レシピ本だけで作り置きおかずがリバイバルしたわけではありません。その背景には、冷蔵庫の性能向上とまとめ買い需要に堪えるスーパーの増加があります。

冷蔵庫は省スペース&大容量に進化。ファミリー用の冷蔵庫は、400リットル以上の大型のものが一般的となりました。

冷蔵・冷凍の性能も飛躍的に向上しました。チルド機能の向上で生鮮食品はより長持ちするようになり、急速冷凍機能の登場は冷凍による味の劣化を大幅に軽減しました。

スーパーマーケットに関しては、まとめ買いに力を入れた店舗が増加。コストコや業務スーパーなど、大容量でお得な商品を扱うスーパーが流行しはじめました。

週末作り置きが一般的に

作り置きをコミュニケーションや息抜きの手段にしている人もいます

2010年代の作り置きブームの特徴は、“週末作り置き”を推奨することにあります。

週末作り置きとは、休日に食材を1週間分購入し、まとめて作り置きおかずに調理してしまう方法です。

調理に時間が獲れる休日におかずを数種類~10数種類作り置きしておけば、平日に手の込んだ料理をしなくてよいというわけです。

週末作り置きは、平日に料理を極力したくない人や、平日でも一汁三菜をキープしたい人に好評を博しました。

作り置きのイメージが向上

なんとなく賢いイメージ

週末作り置きは、作り置きおかずのイメージを今までになく向上させました。

週末作り置きは、休日に作ったおかずを1週間かけて食べきるスタイルです。作りすぎた物を持ち越すのではなく計画的に消費するため、ルーズなイメージが軽減しました。

また、まとめて調理するのはある程度手間がかかるため、手抜きのイメージも改善しました。

週末作り置きの登場によって、作り置きおかずのイメージは、計画的でデキる主婦のイメージへと変化していったのです。(しかし、今度は逆に兼業主婦層から敬遠される習慣になってきている模様…価値観戦争は終わりませんな)

2010年代以降の作り置きおかずの特徴

2010年代以降にブームになった作り置きおかずには、次のような特徴があります。

  • カラフル
  • 比較的薄味
  • 清潔感と統一感がある保存容器

先述したように、最近の冷蔵庫は食品の保存性が飛躍的にアップ。消毒スプレーなど除菌用品も普及したことによって、いろいろな食材の長期保存が可能になりました。

その結果、2010年代以降の作り置きおかずには、従来は作り置きに使われなかった食品も使用されるようになっています。

トマトのヘタは取って保存しよう

トマト・キュウリなどの生野菜、たらこや刺身などの生もの、ゆで卵などが、新たに作り置きおかずの材料として採用されています。(参考:https://cookien.com/)

濃い味で調理する方が保存性が良いのは当然ですが、レシピサイトで紹介されている作り置きレシピは比較的薄味のものが増加しています。(除菌と冷蔵性能によって、比較的薄味でも作り置きが可能になったのかも…!)

作り置きおかずといえば茶色で濃い味というイメージは、すでに過去のものとなっています。

ガラス製容器のイメージ

保存容器は、安いプラスチック製よりも高級感・清潔感のあるガラス製やホーロー製が人気に。一週間分のおかずをまとめて作る関係で、同じシリーズの保存容器を揃える人が増えました。(SNS映えもしますし)

まとめ

この記事では、作り置きおかずの歴史について調べました。最後にポイントをまとめておきます。

  • 作り置きおかずは、保存食→下味冷凍、濃い味の冷蔵おかず→週末作り置きへと進化
  • “濃い味で水分を減らす”は、昔ながらの作り置きテクニック
  • 下味冷凍は1980年代から流行
  • 作り置きおかずの手抜きイメージは、家庭料理を充実させたい人々との論争の産物かも?
  • 2010年代以降の作り置きおかずは、1カラフル、2薄味化、3SNS映えする保存容器が特徴

作り置きおかずは、忙しい主婦が食卓を充実させるために編み出した生活の知恵でした。

価値観の衝突に巻き込まれている感は否めませんが、知恵や技術そのものに罪はありません。生活スタイルに合わせて、便利に使っていきたいですね。

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